かかとの自由宣言
ちょっと無駄なことを一生懸命やるのが楽しい人たちに向けて
てれまくりからのメッセージ

19世紀後半、ノルウェーからオーストリアに伝わった踵の自由なスキーが、その後の歴史の中で踵を固定したアルプス仕様に改良され、やがてそれが滑るス キーの代名詞となりました。理論を優先すれば、踵を固定したアルペンスタイルのほうがより安定しており、スピードや急斜面滑降において有利なのは間違いあ りません。
ではなぜフリーヒールが現代において、滑りの分野まで再び復活してきたのでしょうか?それは、スキーがもたらす幅の広い楽しみを滑りとスピード追求とい う一点に狭めてきた=単純化・切り捨て文化に対する疑問が、ある時代の世界観の変化に共鳴して、芽をふきだしたものです。もちろんスキーの楽しみから滑り とスピードを外すことはできません。しかし踵を固定して自由な動きを奪われることよりも、不安定だが足の自由から生まれる動きの可能性を楽しむ方法を、あ えて選択した人たちがいたということだと思います。
身体を自由に動かすことはおいしい食事を取ることと同じで、人間本来の文化的欲求で す。生きるためのカロリー摂取と栄養素の補給を、高カロリー食品と総合ビタミン剤で済ませれば、食事を摂る「ムダな時間」は減らすことが出来ます。でも私 たちは多種多様な食材を時間をかけて料理し、味わいながら食べることを 心から楽しいと思います。
スキーの楽しみ方もこれとまったく同じ ではないでしょうか。理科的には無駄な時間こそが人間にとって最も楽しい文科的時間なのだと思います。心身共に健康に保つには、理科的には無駄と思われる ものを楽しむ文科的心も、バランスよく持つことから生まれるのだと思います。フリーヒールスキーはそんな「ムダな要素」をまるごと含んだスロースタイルだ と言えるのではないでしょうか。
競技を離れたスポーツは、仕事のように結果を出すために作業効率を第一に考えて行う行為ではありません。 スポーツを行うことそのものが目的です。便利、楽チン、早い、速い、日常生活や仕事で常にわれわれの頭を支配しているこれらの行動基準をスポーツにまで結 び付けようとするあまり、私たちは用具機能の一面的な進化を疑うことなく受け入れてきました。そうした用具進化にそった人間の能力開発は進みましたが、あ る時、スポーツで最も楽しい自由に身体を動かせる喜びを忘れていることに気がついたわけです。
1970年にコロラドで始まった新しいテレ マークスキームーヴメントは、歩く機能を損なわないノルディックスキーでも存分に滑りを楽しむことが出来るのだということを、世界のスキーヤーに教えてく れた時代を変える出来事でした。そのきっかけとなったのはゲレンデを背にそのもっと奥に広がる自然そのものの山々をまるごと味わいたいという人々の心から です。
「ムダな」遊び心と自由で広い視野というフリーヒールスキーの原点を心に持ち続けながら、私たちは未来に向けてのフリーヒールスキーを普及させていきたい、そのように思います。
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